2011年7月22日にノルウェーのウトロ島で起こった単独テロ犯罪事件を実写化した作品
「7月22日」を紹介します。
政治的な話が絡む作品なのでちょっとわかりにくいかも知れませんが頑張ってレビューします。
あらすじ
ノルウェーで発生したテロ事件。この卑劣な攻撃を生き延びた若者や悲しみに暮れる家族など国全体が、心の拠り所と正義を求めて歩み続ける。実話に基づく映画
netflix公式より
実際にあったテロ事件を取り扱ったノンフィクション映画ですね。
ノルウェーの社民党員(労働党)の子供たちが毎年集まるサマーキャンプが舞台。
楽しく暮らせるはずのキャンプに右寄りの過激派であるアンネシュ・ベーリング・ブレイビクが単独テロを起こし、数十人の死者が出てしまいます。
1人の犯人が起こした事件が、国の政治まで揺るがすことになります。
レビュー
前情報なしで見始めたので「ん?アクション映画ではない?」と思いましたが、色々調べるうちに自分が知らない事件の話だったので興味深く感じて見続けてしまいました。
ブレイビクが淡々と子供たちを射殺していくシーンはかなり恐怖を覚えました。
ほんとに狩をしている感じでしたね。
テロを取り上げた作品は被害者や事件の当事者がメインになりますが、この作品は事件の犯人をややメインに取り上げた作品になります。
なぜ彼がここまでの犯行に及んだのか、彼の狙いは?というところまで深く考えるにはノルウェーの時事問題を勉強する必要があります。
事件の内容を淡々と映している作品なので特に大きなオチなどはありませんが、ノルウェーの情勢を前もって勉強しておくとちょっとだけ分かりやすくなるのかなと。
ノルウェーの問題
ノルウェーが抱える大きな問題として「移民難民問題」があります。
日本でも移民の問題は「ほかの国の話」では済まされなくなっていますね。
ぶっちゃけ移民は「ほかの国の人間をウチのほうで面倒見ますよ」という話で自分の払っている税金が自分たちへ還元されないので国民からの反発はすごいはずです。
移民をめぐる問題は終わらないですね。
ノルウェー社民党(左派)
このサマーキャンプは高校のとかではなく社民党員の子供たちが参加するイベントになります。
労働党は社会民主主義の政党です
政治的目的としては、自由競争市場経済や資本主義経済により発生する、労働者の貧困、失業などの問題を議会や政府の管理と介入により軽減・解決し、実質・実態としての政治的・経済的・社会的な公正や機会平等、人権保護、環境保護、国際協調と国際社会との共生を追求する。
wikiwandより
カンタンにいうと多文化主義というやつですね。左派です。
日本で左派というとどうしても特定アジア勢が話に出てきますが、左派というのは国際協調と国際社会との共生を求める目的が強いです。
みんな平等、高所得者の富を分配しよう、社会保障を充実させようという考え。
多文化主義ということで世の中の流れを意識して様々な取り組みを行う動きを行います。
労働党は移民肯定派になりますのでノルウェーのなかでも「移民(特にイスラム系)のための政党」であると言われることもあります。
アンネシュ・ベーリング・ブレイビク(右派)
犯行を行ったアンネシュ・ベーリング・ブレイビクはキリスト教の原理主義者になります。
作中でもテンプル騎士団のメンバーであると言ってますよね。
原理主義者はカンタンに言えば聖書の教えは絶対で、それに反する行いは悪であるという考えです。
反同性愛、反中絶、反進化論、反共主義、反イスラーム主義という、いわゆる右寄りともちょっと違うかも知れませんが、作中では右派といわれています。
社民党とは特に正反対な考え方です。
反イスラムであると共に移民の政策を推進している労働党の動きを妨害するために、その子供たちを狙います。
最後に
Netflixオリジナル作品「7月22日」について書いてみました。
この事件後、ノルウェーではこの事件を深く掘り下げることは若干のタブー視されている現状です。
「彼のような過激な思想が広まってしまうのではないか」「遺族への配慮は?」など大きな声で語るわけには行かないようですね。
ですが、事件から7年経った今、この事件を取り上げた作品が次々と発表されているのです。